Book ~最近読んだ本~

年末〜年始の休日に読んだ最近の本。

世界の更生施設(刑務所)を巡る旅の物語(実話)。

コロナで外出に制限があるので年末年始はいくつか本を読んでいました。興味深かったものを、少し紹介させて頂きます。

 厚生施設(昔でいう刑務所)は国により、更生のアプローチが違うことで、施設の仕様もそれぞれのようです。アジア、アフリカ、アメリカ、南米、ヨーロッパ等、資本主義国家や福祉国家等により人と社会の関係性や罪の償い方、更生のあり方もそれぞれの国の歴史や考え方で違いが。。。それぞれの施設を訪れる著者には理由があった。「刑務所から大学に」進めるコースを大学と開設する活動をしているのだ。とても画期的であると同時に、犯罪者の更生のモーチベーションにとてもポジティブなきっかけを与えるプログラムだと私も読みながら共感し、興味深く拝読。日本は戦後にアメリカの刑務所のスタイルを取り入れている歴史があり、厚生や刑罰について色々と議論がされている。(昭和の時代から変わっていないようにも見えるが)刑務所がない昔は、他の国も同様に島流し等の刑があり、国の歴史もそれらの刑罰の歴史をどう捉えるか、違いがあるようだ。この本は少し俯瞰して、人と社会の関係性を、歴史を通していろんな地域で見る上でとても興味深い内容となっている。なぜなら人をコントロール(社会から距離を設ける)することを物理的に実行する建物(更生施設)は、別の国では、違った厚生の考え方により、社会の中で厚生中の収容者の人達が普通の暮らしに近い形で地域社会の中で過ごしていたり、どのように接するかという視点で社会に違いがあり、その点で興味深い。学校や会社等、日本の社会も一歩足を踏み外した人達に対してどのような選択肢があるのか私もよくわかっていないが、日本では少なくとも、欧州のオランダや北欧のような福祉国家のような社会分析と哲学と寛容さは少ないように思う。多分それは市民社会として未成熟なバックグランドが理由なのかもしれない。御上が制作や制度を作る縦割り社会の背景(事なかれ主義)の考え方や思想の影響だと思う。市民は関与していかない体質が残っているのかもしれない。家族や家庭環境も含め、健全な環境が犯罪を抑制することは理解できるが、国自体が貧しい環境のケースは深刻な問題に繋がっていたりする。一方で豊かな割には、意外と厳しい?報道などによると日本の厚生施設を経験した人は、社会の中で平等に生きることが許されず、再度犯罪を犯し、更生施設に戻ってしまうケースも多いという。また、反対に更生施設が足りないくらい犯罪が多いアメリカのケース等、民営化している刑務所の姿など何か日本の近未来を予感させる施設の一つなのではないだろうかと思う。普段の社会環境もある意味、刑務所的な要素(人を従いやすいように教育、管理、コントロールする等)が教育施設でも漂っているように思ってしまうのは私だけでしょうか。。この本を読んでいると歴史を含む色んなことをふと思わさせられたのでした。建築の本ではありませんが、人と社会という視点で少し違った世界を著者と一緒に訪れているような視点が新鮮な実際のお話の本。コロナで家の中で過ごしている時間が多い生活になりがちな今日この頃ですが、なかなか、ワイルドな著者のドライシンガーさんと各地の刑務所を旅をしているような感じがして、良かったです。皆さんも世界の刑務所を巡る旅をしてみませんか?(笑)

囚われし者たちの国 世界の刑務所に正義を訪ねて 著者:バズ・ドライシンガー 

初版は2017に英語で出版されている以下の書籍になります。

Incarceration NationsA Journey to Justice in Prisons Around the World 前表紙 Baz Dreisinger
初版の英語版の書籍